もし、子どもが非言語表現からあなたの様子を察知したときは、「そんなふうに見えた?」と尋ねてみるといいでしょう。そして自分が、無意識に非言語表現で感情を表していたことを素直に受容することが大切です。また、自分のことを気にかけてくれて感謝していることを伝えましょう。

 さらに、子どものコミュニケーション能力を伸ばしたい時には、非言語表現のコミュニケーションを意識しましょう。「声にハリがないし、足取りが重いな」と非言語表現で察することができたら「何かあったの?」と声をかけてみましょう。「実は……」と心の内を打ち明けてくれるかもしれません。場合によっては、想定外の会話を楽しめるかもしれません。

親子のコミュニケーションで
将来のコミュニケーション能力は向上する

 相手の非言語表現が認知できたら、あなたも非言語表現で応えましょう。

 コミュニケーションは、言語の表現と受容だけではなく、非言語の表現と受容でも双方でやりとりをしていることをしっかり認識しましょう。だからこそ、相手の非言語表現に応えることが、とても大事なのです。非言語表現は、言語表現に比べて短時間で伝えられる情報量が圧倒的に多いため、重要だということも覚えてください。

 たとえば、相手に好意を伝えようとしたとき、どれくらい好きなのかを言葉を尽くして伝えようとすると、長くて技巧的な文章になるかもしれません。

 しかも、言葉は、相手に同じくらいの語彙力や読解力がなければ感情まで伝わらない可能性があります。

 しかし、非言語表現であれば、表情や口調、視線の動き、ジェスチャーなどで瞬間的かつ直感的に伝わる可能性が高いのです。しかも、非言語表現は必ずしも言葉と共に発するとは限りません。もちろん、多くの場合は「好きです」と言葉を発すると同時に、非言語表現も伝わる場合が多いのですが、全く言葉を発しなくても、そのときの状況や表情、ジェスチャー、視線の動き、服装などだけで伝わることがあります。

 言葉を伴わない非言語表現を頻繁に体験するのは、無言のあいづちでしょう。

「なるほど」「へぇ」などと口に出さなくても、相手の目を見て頷くだけで「理解していますよ」という意思を伝えることができますし、腕を組んで視線を斜め上に向けるだけで「うーん、確かにそれはあり得るなぁ」と想像しながら考えていることが伝わります。逆に言えば、いくら言葉で「それは素晴らしいですね!」と言っても、本心では「そんなわけがあるか!」と思っていれば、非言語表現のほうが強く伝わってしまうかもしれないのです。

 ですから、本心とは無関係に口先だけで人を説得できたりごまかせたり、あるいは感動させたりできると考えている人はいつか痛い目に遭うかもしれませんよ。

 また、言語表現をマネジメントできている人は多いのですが、非言語表現をマネジメントできている人は多くはありません。非言語表現のマネジメントができていないことの怖さは、黙って立っているだけでも何かを悟られてしまっている可能性があるということです。非言語表現は常に自動的に表れているためです。

 つまり、その人の持っているマインドが。非言語表現で勝手に表現されてしまうのでマインドの持ち方がいかに重要であるかが明らかになります。