ファンケルは廃止、アマゾン・ヤフー・楽天は維持…「送料無料」表示をやめられない事情とは「送料無料」表示の見直しが要請されたが… 写真提供:カーゴニュース

消費者庁の要請を受け、大手通販会社を中心に「送料無料」表示の見直しの動きが広がりつつある。消費者が通販やECサイトを選ぶ際、「送料無料」がインセンティブになっていることから「送料無料」の表示を廃止するケースはまだ少ない。通販会社が送料を負担している旨を表記したり、「送料無料」と表示しても、運賃が消費者の商品購入価格の中にから支払われていることを説明したりすることで、消費者の誤解を回避する対応を図っている。一方で、EC事業者を対象とした調査では、配送料の高騰を受けて、表示だけでなく送料そのものを見直さざるを得なくなってきた事情もうかがえる。(カーゴニュース編集部)

*本記事はカーゴニュースからの転載です。

「送料無料」の“廃止”を決めたファンケル

 消費者庁は2023年12月に公表した「送料無料」表示の見直しに関する考え方では、通販会社が「送料として商品価格以外の追加負担を求めない」旨を表示する場合、「送料当社負担」「○○円(送料込み)」など送料負担の仕組みを表示したり、「無料」と表示する理由や仕組みをわかりやすく説明したりすることを求めた。

 これを受け、日本通信販売協会(JADMA)は事業者団体の取り組みとして、政府の要請により作成した「物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画」の中に、「『送料無料』表示の見直しや、表示する理由や仕組みを説明することに努める」という取り組みを盛り込み、会員企業の対応を促した。

「送料無料」の表示の見直しについては各社で対応が分かれている。「送料無料」という表示の“廃止”を決めたのはファンケル。5月以降、「送料無料」の表記を「送料はファンケル負担」または「送料当社負担」に順次切り替え、「送料や物流に対する消費者理解に努める」とした。