なお上記において、各選挙区への議席配分を最大剰余式ではなくドント式で行うと、各選挙区間の定数格差が1対2を越える場合が生じるために最大剰余式を用いることにした。

 さて、この定数自動決定式選挙制度の長所は、次の4点である。第一に、「民意が反映される」ことである。各党の議席数を比例代表にしたがって配分するので、得票率によって議席率が決まることになる。

 第二に、「定数不均衡がない」ことである。つまり、選挙区の得票数に応じて議席数が決まるので常に自動的に見直しが行われるため、憲法第14条で定められている「法の下の平等」を満たすことになる。現在の我が国では、定数是正が国会議員に任されているため、その是正には長い年月がかかっている。このため、ひとたび是正を行った後にすぐにまた新たな不均衡が生じても、これに機敏に対応することができない。したがって、自動的に不均衡が是正されるような制度が、我が国には必要であると考えられる。

 また、これまで定数は人口に応じて配分されてきたが、本来の意味では、人口の格差ではなく一票の格差こそを是正すべきではないか。仮に、投票率40%と80%の選挙区があるとすると、人口あるいは有権者人口に応じて定数を配分した場合、投票率40%における一票の価値が80%における一票の価値の2倍になってしまう。すると、いくら人口や有権者人口に応じて定数を定めても、別の意味での一票の格差が生じることになる。したがって、投票に応じて定数を定める方式が求められる。

 第三に、「党利党略が入らない」ことが挙げられる。この選挙方式では、小選挙区を必要としないためにゲリマンダーの弊害が生じない。

 第四に、「有権者の意識が高まる」ことである。投票率が議席数に反映されるために、投票するインセンティブが有権者にもたらされるわけである。代議制民主主義の機能改善を求める以上、政党や政治家ばかりでなく有権者も努力することが必要である。

 こうした選挙制度の導入により定数不均衡問題を解消することで、法の下における政治的平等が担保され、より良い代議制民主主義が実現することを願う次第である。

参考引用文献:小林良彰「議員定数不均衡による民主主義の機能不全」『選挙研究』28巻2号、木鐸社、2012年