政法部門による処罰と外交部による制裁が
同じ日に発表された理由
習近平総書記率いる中国共産党指導部が、「台湾統一」という最大の悲願を実現すべく、新たな行動に打って出た。
6月21日、最高人民法院、最高人民検察院、公安部、国家安全部、司法部という5つの部門が連名で、「『台湾独立』の頑迷分子による国家分裂と国家分裂扇動の犯罪の法による処罰に関する意見」(以下「意見」)を発表した。
政府機関において、司法という分野における最も重要な3部門と、国家の治安や安全を守る上で最も重要な2部門が共同で1つの方針を発表するのはまれである。裏を返せば、習近平政権にとっての悲願である「祖国の完全統一」を達成するためには、1つの部門や分野ではなく、異なる複数の部門や分野による連合作戦が必要不可欠になるという政権指導部の認識を表しているとも解釈できる。
実際、中国外交部は「意見」が発表されたのと同日、米国政府が台湾当局に武器を売却したことに対する報復措置として、「外国制裁法」に基づき、米国防大手ロッキード・マーチン社の関連企業と同社の幹部らに対して、中国国内の資産凍結、中国との取引停止やビザ発行禁止といった制裁措置を発表した。
司法、警察、国家安全を含めた政法部門による「意見」の発表と、外交当局による制裁措置の発表が同じ日に行われた事実を偶然の産物と見るべきではない。習近平総書記率いる中国共産党が、国内におけるあらゆる戦略的資源を集約、統合させながら、米国をはじめとした諸外国による「内政干渉」を阻止し、頼清徳総統率いる台湾当局に圧力をかけつつ、統一という国家目標を達成するために邁進する過程における必然的事象と捉えるべきである。