就活で自己理解ができた学生はたった6割、真に自分らしいキャリアに巡り会うためのゴール設定とは就活生が真に生きがいや幸福感につながる仕事に巡り会う心得とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

巷には、内定をとるためのテクニックがあふれている。しかし、どのように就活に向き合うと、自分らしい進路選択につながるのだろうか。生きがいや幸福感につながる仕事に巡り合うポイントとは。就職・採用に関する調査、分析を行うリクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏が、就活の最前線を語る連載の第19回。今回は、自分らしい進路選択を実現するためにはどのように就活に向き合っていけば良いのかを見ていきたい。

他者の視点から見た「自分」を知る
就活に不可欠な自己理解とは?

 働くために生きているのではなく、よりよく生きるために働く。そんなふうに考えたことはあるでしょうか。どんな環境でどんなふうに働きたいのか、まずは自分について深く考えることから始めてみましょう、と多くの就活ガイドは勧めます。

 では現実に、就活を通じて自己理解を深められたという学生はどれくらいいるのでしょうか。実は、就活を経験した学生のうち、就活を通じて自己理解ができたと思っている学生は6割に過ぎません。4割の学生は就活を経ても、自分の興味や得意、不得意を理解できているとは言い切れない、と自己評価しています。

 また、自分の人生をどう生きたいのかについて思いを馳せた学生の方が、就活で自分らしい進路選択ができたと自己評価しているというデータもあります。

 卒業直前の学生を対象にした調査によると、自分らしい進路選択をできたかについて自己評価が高かった学生の94.3%が、就活を通じて、自分らしく生きていける仕事や働き方について深く考えることができた、と答えました。自己評価が低かった学生では、65.0%でした。同様に、自己評価が高かった学生の94.8%は、自分が望む進路の実現可能性を客観的に判断した上で、自分の進路を決めた、と回答しました。自己評価が低かった学生は58.1%でした。

 自分と向き合おうとしても、自分のことだからこそわかりにくい、という悩みは多くの人が抱えます。悩みを解決するカギは他者との対話です。対話のなかで、自分の経験や意見を言語化したり、他者の視点から自分の経験や考えについて、意見やアドバイスをもらったりするプロセスが、一人で行う内省だけでは到達できない深い自己理解を助けてくれます。