男性ではもともと血中テストステロン濃度が高く、加齢によるその濃度の減少も大きいので、結果的に大きな影響を受ける(筋肉量が大きく減少する)ことになります。一方、女性ではもともとのテストステロン濃度が低いので、男性ほどはこのホルモン減少の影響を受けません。

 テストステロンが減少すると筋力の低下だけでなく、記憶力や集中力が低下したり、やる気がなくなったり、うつ状態になる人もいます。また骨密度が減少することもあります。

 認知症やうつ病と間違えやすいのですが、テストステロンが不足してこのような症状があらわれている場合は、LOH症候群(男性更年期障害)と診断されます。

 LOH症候群の治療にはテストステロンを注射したり、軟膏で塗って投与する方法があります。あるいはテストステロンを増やす漢方薬なども用いられます。

 ちなみに、テストステロンの軟膏は市販薬もあるので、薬局で購入することができます。日本では精力剤的な目的で購入する人が多いようですが、アメリカなどではLOH症候群の治療薬として一般的に使用されています。

 しかしテストステロンは、生活習慣によって減少を防いだり、逆に増やしたりすることも可能です。

 テストステロンを減らす原因のひとつにストレスがあります。ストレスが多い環境で長時間仕事をしている人はテストステロンの減少が激しいといわれています。

 ストレスをためがちな人は、気分転換を心がけるなどして、ストレスをためない生活を送ることが大切です。

 運動もテストステロンを増やします。とくに筋トレをするとテストステロンの分泌が促されることがわかっています。筋トレも効果があるので、ぜひ試してほしいと思います。

 食事では、たんぱく質を多く含む食事がテストステロンを増やすことが報告されています。

 また亜鉛というミネラルもテストステロンを増やすことがわかっています。亜鉛は魚介類や肉類、海藻、野菜、豆類に多く含まれているので、これらをしっかりとるようにしましょう。