「旧皇族養子」を否定する
野田氏の意図

「旧皇族養子」に対して、立憲民主党は「現実的に養子の対象となり得る方がおられるのか、その方の意思とともに、現実に確認した上で、制度設計の議論に移らねばならない」というが、無理難題だ。

 旧皇族男子に対し、「養子になってくれと言われたら受けますか」と、成立もしていない制度を前提に質問されても、「受けます」とは言えないだろう。

 私の知る限り、養子候補となる悠仁さま世代の旧皇族男系子孫は10人ほどいる。旧宮家の人々の多くは、「自分たちから希望しないが、正式な打診があれば、お役に立てるならお受けするのが自分たちの立場だ」と考えている。

 実際には、制度ができたら、宮内庁で候補を調査し、政府にも相談し、皇族方のご意向を聞いて、打診するのではないか。年齢は、打診するのは中高校生以上、養子縁組の成立は大学生くらいがいい。特別の人生を歩むのだから、本人の意思確認をしたほうがいい。

 また、民間人を皇族にするのは、憲法上問題というが、その考え方では、皇統断絶のリスクが大きい。佳子さまと愛子さまの女系子孫に皇位継承を認めたとしても、悠仁さまを含めてたった3人のいとこの子孫だけに皇位継承権を限定したら、近い将来、誰もいなくなる可能性がある。民間人から皇族に戻れないとしたら、いずれ皇室は店じまいになるしかあるまい。

 野田氏の意図は、「単独残留」ではなく配偶者や子も皇族にする「女性宮家」を先行させて実現し、「旧皇族養子」は結論が出ないまま沙汰やみにしてしまうということだろう。

 しかし、「単独残留」と「旧皇族養子」という二つの案を並列させたのは、男系派と女系派の妥協の結果である。男系派は、女系継承に道を開くことになりかねないから、結婚後の佳子さまや愛子さまが皇族として残留することを本当は好まない。

 それでも、「旧皇族からの養子案が実現するなら」とワンセットでのんだ。

 ところが野田氏は、自分の意図が100点満点で受け入れられなかったら制度改正が流れてもいいと開き直っている。これは政治家としていかがなものか。