写真:中学生,高校生,授業風景写真はイメージです Photo:PIXTA

3日以上排便がなく、お腹の張りや不快感を覚える便秘症。誰もが一度は経験がある“便秘”だが、現代の若年層も便秘に悩んでいるという。また、慢性的な便秘のせいで勉学に悪影響を及ぼすケースも……。そこで今回は、学力と便秘の関係や改善策について、小児科医師に話を聞いた。(清談社 真島加代)

「勉強に集中できない」
便秘に悩む若者たち

 数日間“お通じ”がなく、お腹が張り、トイレでいきんでも便が出にくい便秘症。多くの人が、その不快感に悩んだ経験があるだろう。兵庫医科大学が行った調査(1*)によると、便秘症の人はそうでない人に比べて労働生産性が低く、年間約122万円もの経済的損失を生んでいるという。
(1*)…兵庫医科大学「慢性便秘症に対する健康関連QOLと労働生産性に関する研究」

 便秘によってパフォーマンスが下がるのは、大人だけではない。日本トイレ研究所が高校生を対象に実施した調査(2*)では、3日以上排便がない便秘状態と答えた学生のうち86.6%が「勉強に集中できない」と回答。同調査によると、便秘症の高校生は“心身の不調を感じやすい”との結果も得られているという。
(2*)…日本トイレ研究所「排便事情に関する調査」/全国の高校生男女1000人/調査時期:2021年11月17日(水)~11月22日(月)

「とくに、コロナ禍以降は複数の要因が重なり、幅広い年代で便秘の人が増えています。そのため10代で便秘に悩み、当院を訪れる患者さんも珍しくありません。調査によって割合はまちまちですが、一般的に全体の2~5%、多いもので10%の子どもたちが便秘状態にあるというデータも存在しています」

 そう話すのは、赤坂ファミリークリニック院長の伊藤明子氏。前出の日本トイレ研究所の調査では、20.2%の高校生が便秘状態にあるとのこと。調査対象や診断基準によってデータが異なるため「潜在的な患者も多いのでは」と、伊藤氏は指摘する。

「コロナ禍の影響がもっとも表れているのは、運動不足が原因の便秘です。胃や腸などの消化器官は、筋肉の収縮によって生じる波のような運動(ぜん動運動)によって食べたものを体内に運びながら栄養を届け、最後に便として排出します。運動などで体を動かすと腸が刺激されてぜん動運動を促しますが、運動不足になると腸の働きも鈍くなり、便秘になるのです。自粛生活を機に運動不足になった子の多くが、現在も便秘に悩んでいます」