便秘の改善に
大事な3つのこと
たかが便秘と侮っていると、我が子が人知れず辛い思いをしているかもしれない。子どもの便秘サインを見極める方法はあるのだろうか。
「便秘になると、ガスが頻繁に出る、食欲が落ちる、などの変化が現れことが多いです。そのため、お子さんの食べる量が減ったり『お腹が痛い』と相談されたりした場合は、便秘になっている可能性があります」
我が子が便秘に悩んでいることがわかったら「生活習慣や食事のサポートが有効」と、伊藤氏。
「便秘の改善は『水分・運動・食物繊維』の3要素が欠かせません。とくに小さいお子さんは、自分の喉が渇いているかどうかを判断する能力(口渇中枢)が弱いので、水分不足に陥りがちです。学校はもちろん、ご家庭でも1時間に1度『3口水を飲もう』などタイミングを設けて水分補給のしつけをしてください」
また、休日は一緒に外で遊ぶなどの方法で親子共々運動不足の解消に臨んでほしい、と伊藤氏はアドバイスを送る。
そして3つ目の食物繊維は、日頃の献立に“発酵性食物繊維”を取り入れる方法がおすすめとのこと。
「腸内の善玉菌が作る代謝物のなかに『短鎖脂肪酸』と呼ばれる分泌物が多くあると、腸内環境が正常に保たれます。その善玉菌のエサとなるのが、大豆などの豆類、海藻類、オーツ麦や玄米、もち麦などの穀類に多く含まれる発酵性食物繊維。朝晩の食事にはもちろん、昼食のお弁当にも、穀類入りのごはんを入れるなど積極的に取り入れると良いでしょう」
そして、食事のタイミングを守るのも重要なポイント。3食の食事を規則正しく食べるのが理想だという。
「先述のように、朝食は一日の活動スイッチです。朝食を抜くと、便秘だけでなくさまざまな病気の原因になるので、親御さんはもちろん、お子さんも朝食を食べる習慣を身につけましょう。もち麦などの雑穀を白米に混ぜて炊き、おにぎりを朝食にすると、効率よく発酵性食物繊維が摂れて一石二鳥です」
工夫しながら、日々の食事に食物繊維を取り入れるのがコツだ。
「昨今は、忙しい毎日を送っているご家庭も多く、お子さんの顔色や食事量の変化を察知するのは難しいですよね。親子間で、お互いの体調について気軽に話せる関係性を築くと、子どものほうからお通じの悩みを話してくれるかもしれません。ただし、3日以上お通じがない場合は“便秘症”なので医療機関を受診しましょう」
密なコミュニケーションが、我が子の便秘を防ぐ鍵となる。
伊藤明子
小児科医
赤坂ファミリークリニック院長。東京大学医学部附属病院小児科医。東京外国語大学卒業後、帝京大学医学部に入学。東京大学大学院医学系研究科修了。医師になる前から同時通訳者として天皇陛下や歴代首相、米国大統領の通訳を務め、現在も医学系会議を中心に活躍している。40歳で医学部を受験。とくに子どもの食を医学的な観点から研究し、海外の学術論文から日々の情報をアップデートしてる。わかりやすい説明と親しみやすい人柄で子どもをもつ親からの信頼は厚く、メディア出演多数。