小田急が鉄道会社で初めて
登録博物館を登録できたワケ

 ところで今回の小田急のプレスリリースには「鉄道会社が設置する博物館として初となる、博物館法で規定する神奈川県所管の『登録博物館』として登録されました」とある。

 前述の通り鉄道博物館と地下鉄博物館が存在するため、最初は首をかしげたが、両館は「公益財団法人東日本鉄道文化財団」と「公益財団法人メトロ文化財団」が運営しているため、事業者が直接運営しているわけではない、ということだ。

 そうなるともうひとつの謎が浮んで来る。登録博物館の設置主体は教育委員会、一般社団・財団法人、宗教法人などに限られていたはずだ。鉄道博物館と地下鉄博物館が登録博物館になれたのも、事業者本体ではなく文化財団が運営しているからだ。

 不思議に思って調べて見ると、2022年4月に約70年ぶりに博物館法が改正され、2023年4月1日から新たな博物館登録制度に移行していたのであった。文化庁が20年にわたって博物館登録制度の見直しを議論してきたことは聞いていたが、法改正が実現していたとは知らなかった。

 改正内容を確認すると、予想通り、登録博物館の設置主体の要件が緩和され「国立と独立行政法人立を除くあらゆる法人の施設」が登録できるようになっていた。つまり、ロマンスカーミュージアムが「初」なのは、新制度を活用したからだ。