「とりあえず現場に」はNG
「決める会議」の雰囲気とは?

「決める会議」の雰囲気の例を以下に2つ記します。

例1:ここに集まった会議参加者で決めたことは議事録化して、メンバー全員に発信すると宣言しつつ会議を開始します。決める立場の司会進行役=主催者が「私はAと言っている、あなたは何と言うのか?」と各人の発言を明確にするように促します。自身の明確な意志や思考・根拠がなければ意見が言えませんが、それを会議参加者に要望するのです。

 そしてその会議の議事録はメンバー全員に発信され、公開されます。公開されることに耐えうる発言をしなければいけないという圧倒的な緊張感で、決める厳しさを演出します。こういう会議運営をすると、参加者の口癖が段々「私はこう言っています」になり、発言に責任を持つように、そして決められる組織になっていきます。

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菊池明光 著

例2:誰が聞いても恥ずかしくない言い方をしようという方法があります。例えば、マネジャーが集まっている会議で何か施策を考えている時に、無責任に「とりあえず、現場にこれをやらせればいいんですよ、ささっと決めましょうよ」と発言してしまったとしましょう。

 メンバーがそれをやるために、どのような努力や時間投資が必要なのか?その時得られるメリットは何なのか?メンバーのリスクは何なのか?などが議論され尽くしていない中で、浅はかな即決を得に行こうとした発言ですね。

 この時、決裁権を持つファシリテーターは、「それを聞いたメンバーが悲しむと思いませんか?」と問いかけます。自分の発言に責任を持て、熟慮せよというメッセージが裏側に込められています。