圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回インタビューするのは、FIDIAグループの一つで、人材派遣・紹介を行うEvand株式会社の谷原晶恵氏。
2017年に販売・営業として入社し、2020年度には約1500人の中からEvand初代MVPに選ばれた。大阪の拠点長や東日本エリアの統括を担当したのち、現在は管理本部の責任者として、バックオフィス全般を担っている。
今回は谷原氏に、本書のテーマとして登場する「納得感と適材適所を両立させるには?」を軸に、新入社員の配属の際に谷原氏が気をつけているポイントを聞いた。(構成・谷川和歩/ダイヤモンド社書籍編集局)

部下のやる気がないと嘆く上司が忘れているたった1つのことPhoto: Adobe Stock

採用時の配属で気をつけていること

――『スタートアップ芸人』の中では、「採用時の配属に納得感があると、大きな力を発揮してくれる」と記されています。
谷原さんが人材派遣事業を運営していく中で、“人を動かす難しさ”を感じることはありますか。

谷原晶恵(以下、谷原):組織の体制を変えるときや、人材の最適な配置については毎度悩むポイントがあります。

部下が「これをやりたい」「ここに配属してほしい」という気持ちと、上司が「こちらを任せたい」という気持ちが重ならない中で、どうやったら納得感を持ってもらえるかは本当に難しいところだと思います。

ただ、最終的には意思決定をしないといけません。

――谷原さんとしては、部下の希望を優先するか、ご自身のお考えを優先して説得するか、どちらのほうが多いですか。

谷原:もちろん、組織ですから、説得フェーズはあります。
最終的に任せる仕事に関しては、本人にもある程度の覚悟を持ってもらわないといけません。

“言われたからやっているだけ”になるのはまずいので、「なぜ、あなたにやってもらいたいのか」「なぜ、あなたにこの仕事を任せたいのかを言語化するようにしています。

――どうして「あなた」なのか? を明確化することで、部下としては自分が必要とされているという上司の期待感を持てたりしますよね

谷原:ただ、本人が希望するから、「では、任せましょう」というのは違うと思っています。

ある程度こちらが説得したとして、それでも本人がどうしても嫌がるなら、任せなくてもいいかなと思うこともあります。
強く説得するときは、社内でじっくり相談して、確信めいたものがないと難しいですね。

自分ではわからなかった
可能性が開花する瞬間

――実際の配属後、部下から「やっぱりこの部署は違うと思うんです」と言われたこともありますか?
また、Evandでは社内異動は多いのでしょうか。

谷原:戦略的なローテーションはありますが、そうでない場合は、双方で話し合った上で、「思っていたのと違う」と言われるのはほとんどないです。

部署異動はそんなにないですが、試用期間の3か月後に経過観察し、最終的な判断はそこでしっかりできるようになっています。

私自身、元々は事務職を希望していましたが、上司から勧められて営業職に目覚めた経験があります。
部下に対しても、上司の私が勧めた仕事で自分ではわからなかった可能性を開花してくれたら嬉しいですね。

ですので、今回のお題に答えるとするならば、「部下に対する理解」だと思います。

『スタートアップ芸人』には、「学歴や資格だけで判断するのではなく、相手をとことん模索すべき」という森社長の社員に対する思いがたびたび出てくるので、私自身、仕事で迷ったときには本書を読み返すようにしています。業種問わずに現場で使えることが満載だと思います。