海外からの移住者のマナーは良い
新たな街づくり、千載一隅のチャンスに
TSMC効果で、台湾から熊本を結ぶ船便や航空便の新増設はもちろん、熊本大学では「情報融合学環」(学部相当のコース)が新設されるなど、交通、物流、教育インフラの整備が着々と進んでいる。台湾をはじめとする外国籍の人の移住が相次ぐ中、役場では専用窓口を開設する動きもある。菊陽町では、町内の外国人は5月末時点で1028人。17年度末比で約4倍となったという。※06月26日付の熊本日日新聞
現地で話を聞く限り、海外からの移住者は「とてもマナーが良い方々ばかり」とのこと。日本での買い物に戸惑う姿を見かける一方で、中には、熊本ではおなじみのコンビニ「おべんとうのヒライ」を地元民並みに利用する人もいるそうだ。
移住者のために、店先では「請問要如何支付?」(何かお探しですか?)「商品你要加熱嗎?」(商品を温めますか?)と書いた紙を張り出したり、パイナップルケーキ、魯肉飯(ルーローハン)といった台湾食材をラインナップに加えたりしているという。
私たちは時に、海外からの移住者が地元住民とハレーションを起こす話を聞くこともある。しかし、現時点の菊陽町では、そうした光景は見られなかった。それは、海外転勤に慣れたTSMCの関係者だからこそ、うまくなじんでいるのかもしれない。
先に述べた通り、菊陽町はベッドタウン化による人口増加である意味、「外からの移住者」をずっと受け入れ続けてきた街だ。TSMC進出による経済効果を上げるためにも、「移住者と一体となった街づくり」が必要だろう。少ない宅地・商業地を活用するために、老朽化した街のリノベーションも重要だ。それは、町にとっても千載一隅のチャンスに違いない。
縁あって日本に移住した技術者やその家族が、地域と一緒に新しいコミュニティを作り上げていく。菊陽町がそうした輝かしい未来を描くことに期待したい。