悲劇の主人公ぶって発せられる「どうせ私なんて」という言葉は、言われた側は当惑するし、言った本人も自らにダメなレッテルを貼ってしまうことになる。今日からコレを禁句にするだけで、新たな視界が開けるはずだ。ツラい日を乗り越え、なんでもない日に感謝し気分よく過ごすための心得を紹介する。本稿は、海原純子『いい気分の作り方 困難な時代の心のサプリ』(毎日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
「今日限定」のテーマを
自分に課して問題点を修正
帰宅途中で近くのスーパーに季節限定のアイスクリームが並んでいるのを見つけた。心が動いたが、荷物が多かったので、あとで買いに来ようと思って帰宅した。
翌日の帰りに寄ってみたら、もう売り切れている。かなりたくさんあったと思い安心していたが、甘かった。この暑さでアイスクリームの売れ行きがいいのかもしれないが、それにしてはほかの定番アイスは残っている。季節限定、という言葉に弱いのはどうやら私だけではなさそうだ。
限定といわれると、数が限られているから急がないとなくなる、と思う。アイスクリームに限らず化粧品でも限定商品は予約が殺到するようだ。限定という言葉は、商品やその日限りの割引セールなどさまざまな場面で使われている。
この言葉をうまく日常で自分のこころの改革に使えないものだろうか、などと考えた。楽しみながら使えそうなアイデアが浮かんだので実行してみたらどうかと思った。
まず自分が抱えている問題点を思い浮かべる。例えば、すぐ自分はだめだ、と考えてしまう癖がある、とか、自分はかっとなるとすぐ言葉に出してしまう、とか、自分は上司や目上の人がいるとびくびくしてものを言えなくなる、とか、自分は面倒くさそうなことがあると先延ばしにしてしまうなどなど。
自分が抱えている問題点で、今一番気になることを1つ選ぶのだ。私は今暑さもあり、ものごとが先延ばしになる傾向があるのでそれを選ぶことにした。
そして「今日限定」でそれを修正するのだ。
いつもは無理だが、今日限定で先延ばしにしないことを実行するならハードルが低い。今日だけは先延ばしにしないでものごとにさっさと取り組む。夕食の支度も食器の片づけも、郵便物を出すのも、今日だけだと思うなら気楽にできたりするから不思議。限定の魔力だろうか。
毎週締め切りがくるこの原稿(編集部注/当記事の初出は毎日新聞コラム)も、取り掛かるのが早くなり締め切りに遅れないで済みそうだ。
ただし、その日限定のテーマは外的なものではなくあくまで内的な内容だ。何をするか、ということではなく、どういう気持ちで過ごすか、というものだ。