折り合おうとする努力が価値観の溝を埋める

「サービス残業は当たり前」と主張するベテラン社員は、内心何を考えているのか?医学博士・平松類氏の著書『「老害の人」にならないコツ』(アスコム)

 職場の上司や大先輩にSさんのようなタイプがいる場合は、まずは価値観の違いを理解するように努めましょう。

 Sさんが間違っている、と決めつけるのではなく、自分の考えとSさんの考えは違う(善意で言ってくれている)、と認識することが何より大切です。そして、年齢的に価値観を変えたり、時代の変化に対応したりするのが、難しいということもわかってあげてください。

 そのうえで、今の時代は技術の消費期限が短くなっていること、出世や社会的成功、お金を稼ぐことなどに固執していないこと、でもやる気はあるということを、上司や大先輩にていねいに説明するといいかもしれません。

 その人の考えや価値観を否定せず、あくまで自分はこうですという意思を示すにとどめるのならば、100%の理解は無理でも、多少は歩み寄りの姿勢を見せてくれる人はいるでしょう。

 それでもなお、 「おまえは何もわかっていない」と一刀両断されたら、今の時代にそれをやると訴訟されるリスクがあるということを、やんわりと伝える以外に方法はないかもしれないですね。

 できれば、そうなる前にうまく折り合える点を見つけられるといいのですが。