「派閥は民主主義を歪めている」青山繁晴が自民党をぶった斬る納得の理由Photo by Wataru Mukai

なぜ派閥は「悪」なのか?派閥に属さず、政治献金を一切受け取らない異色の議員が、自民党の「派閥とカネ」問題に切り込む。現職の自民党議員が語る、反逆の派閥論とは――。政界を揺るがす問題の核心に迫る独占インタビューを公開。(構成/石井謙一郎)

――青山さんは、派閥に属さず、政治献金を受け取らず、政治資金集めパーティも開いていません。団体支援も断っておられます。後援会を作らず後援会長も置いていません。まず、派閥の何が問題だとお考えですか。

 まず「閥」という言葉の意味を考えてみましょう。

 この字が指すのは、「軍閥」「閨閥(けいばつ)」「門閥」「学閥」、すべて私的な集団です。私欲や身内の利益のために、人間を仕分けして、排他的な塊をつくる。人間への正当な評価は関係ない。「閥」と呼ばれるものはおのずから、私利私欲を満たすための理不尽な集団なんです。

 派閥はボスを総裁にするための私的なグループであって、公の存在ではありません。野心と欲望に満ちていて、民主主義を歪めています。日本は民主主義国家で法治国家ですから、主権者が直に選んだ国会議員のなかから、正当な評価基準で大臣や副大臣や政務官を任命すべきです。派閥からの推薦リストによる人選なんて論外です。法的な根拠もない集団が、力を持ってはいけないんです。

―― 一連の「派閥とカネ」を巡る問題で、お感じになったことは?

 この問題は法的には形式犯であって、政治家を立件できなかった検察を責めるのは間違っています。政治資金規正法で言うと、今回のキックバックと言われているカネも、政治資金収支報告書できちんと報告していれば、検察も問題にはできなかったわけです。

 先日、宏池会に所属していた議員が、私にこう言いました。

「今回の問題で一番深刻なのは、悪いと思ってる人が誰もいないことです」

 賄賂などのわかりやすいカネと違って、裏金作りが悪いことだったという意識の人が、この期に及んでもいない。その議員は無派閥の私のところへ来て、わざわざそう仰ったんです。

「岸田総理って策略家だよね」

 と話しかけてきたのは、安倍派(清和会)の議員です。岸田総理が率先して自分の派閥(宏池会)を解散し、安倍派、二階派(志帥会)、茂木派(平成研)をまんまと潰し、残っているのは自分を支えてくれた麻生派(志公会)だけだからです。

――結局、誰が裏金作りを始めたのかさえ、曖昧なままです。

 森喜朗元総理が派閥会長のときに始めたと言われますが、あの方はこんな悪事を思い付く頭の持ち主ではありません。共同通信時代に幹事長だった森さんの番記者をしていたからわかります。『文藝春秋』6月号でご本人が否定していましたが、そう虚偽とは言えないのではないでしょうか。また、事務方が考える話でもありません。

 政治資金だと確認できれば税金はかかりませんが、使い道を明らかにする必要が生じます。しかし政治資金収支報告書に「誰にいくら渡した」と書きたくないから、納税義務から逃れ、使い道も明らかにしない便利なやり方が、自然と生まれたんでしょう。

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