シャコタンを愛する不良は
永遠に不滅!?

 そして時が流れて95年になると、規制の存在が「米国をはじめとする海外のメーカーにとって不利になる」という指摘が出たことなどから、法律が改正されました。

 法改正後も「最低地上高9センチ」といった基準や、ジャッキアップした際にスプリングに遊びがないことなどの縛りはありますが、車高ダウンの方法はかなり容易になりました。

 具体的には、車高調整式サスペンション(通称シャコチョウ)というパーツを取り付けるだけで高さを変えられるようになり、現在もこの手法が主流になっています。結果、車高を下げるというチューニングやドレスアップは、不良だけでなくクルマ好きにも広がっていきました。

 この流れは音楽に重なるところがあります。ビートルズが活躍した時代、彼らのロングヘアーは不良の代名詞でした。エレキギターを弾くことは不良の極みでもありました。それが今では、男性のロングヘアーやエレキギターは不良以外にも広がり、不良の象徴ではなくなりました。

 クルマの話に戻すと、もちろん今も車高を下げている不良が絶滅したわけではなく、本当に街で見かけることもあるでしょう。でも、それは彼らにとっての格好良さやオリジナリティ、理想の走りやデザインを追求しているだけではないでしょうか。決して「悪ぶりたいから」ではないはずです。そもそも今の法規制では、車高のカスタムは「悪(=違法)」ではないのですから。