キャリアに関しては
目標にとらわれ過ぎないことが大事

竹川 キャリアに関しても、将来をイメージしたり、目標を持つことは大事ですよね?

田島 そうですね、将来に向けて目標を設定することはたしかに大事ですが、それにとらわれて過ぎてしまうのは、実は良くないんです。特に組織の中では、自分の思い通りにいかないこともあるじゃないですか。

竹川 たしかに。

将来、大きな差が出る?<br />知らないとソンする「お金」の話田島弓子(たじま・ゆみこ)
ブラマンテ株式会社代表取締役。 成蹊大学文学部卒。日本人材マネジメント協会会員。IT業界専門の展示会主催会社などにてマーケティングマネジャーを務めた後、1999年にマイクロソフト日本法人に転職。約8年間の在籍中、Windowsの営業およびマーケティングに一貫して従事。当時、営業・マーケティング部門では数少ない女性の営業部長を務める。在籍中、個人および自身が部長を務めた営業グループでプレジデント・アワードを2回受賞。2007年キャリアおよびコミュニケーション支援に関する事業を行うブラマンテ株式会社を設立。キャリアアドバイザーとして「若年層向け働き方論」「中間管理職向けビジネス・コミュニケーション」「女性活用支援~女性の中間管理職を増やす」の3つを軸に、コンサルティング、社員研修、セミナー、大学講義、執筆などの活動を行っている。著書に『プレイングマネジャーの教科書』『女子社員マネジメントの教科書』(ダイヤモンド社)、『働く女性28歳からの仕事のルール』(すばる舎)などがある。ブラマンテ株式会社 http://bramante.biz/

田島 企業であれば、ある日突然異動を命じられることもありますよね。自分の定めた目標が、そういった外的要因で変更せざるをえないことは多々あると思います。

 だからといって、目標を設定するなという話ではないんです。ただ仕事において目標というのは一度定めてそれで終わり、ではなくて、働きながら新しいことに出会い、それによって何度も上書きしていくものだと思うんですね。

 にもかかわらず、向上心に燃え、目標を持って会社に入った新入社員は、真面目な人ほど自分の希望の配属にならないと「僕はこんなことをするために、この会社に入ったんじゃない」とポキッと折れちゃう話はよく聞きます。

竹川 「上司に恵まれない」って言ってみたり(笑)

田島 確かに上司を選ぶことはできませんが、だからといって簡単に転職を考えるのは危険です。まだ即戦力と呼べるものを身につけていない新人であればなおさらです。大切なのは、上司や配属など外部要因に振り回されず、自分と向き合って、つまり自分に実力をつけて、どこでも通用するようなビジネスパーソンを目指すことです。

 そのためにも、若いうちは目の前の仕事にベストを尽して、そこから実力をつけて欲しいんですね。単純作業やルーティンワークでも、自分の取り組み方次第でクリエイティブなものにできるはず。何の仕事をするかより、与えられた仕事を「どう」やるか、そういうことに頭を使って欲しいと思いますね。

竹川 自分の取り組み次第ということですね。

田島 そうです。与えられた仕事に結果を出し続ける、それが他人に評価されるようになって初めて、やりたい仕事ができるようになったり、新たな目標に結びついていったりするのがキャリアのリアルだと思うんです。

「自分は営業の仕事なんかやりたくない。企画の仕事がやりたい」と思っている人が、営業の仕事が認められて違う仕事を任せられたり、目の前にある仕事に夢中になるうちに、営業の仕事がどんどん面白くなって、自分の将来の目標が上書きされていく。そんなこともよくありますね。

 だから、過去に立てた目標に固執しすぎず「何がしたいか」ということより、与えられた仕事を通じて「できること」を増やしていく。そのためにも、「何の仕事をやるか」より、目の前の仕事を「どうやるか」にフォーカスしていくことが大事だと思うんです。

竹川 なるほど。

田島 ちなみに「人と動く」と書いて「働」という漢字ですよね。仕事の実力をつけていくためには、周囲を巻き込むことを覚えることも重要です。人を巻き込むことも含めて、今の状況で最大限の結果を出すために「どう」するか。そのために脳に汗をかくことを積み重ねることがキャリアになっていくんです。経験を貯めていくようなイメージです。

竹川 過去にこの話を聞くことができたら、私は会社を辞めなかったかも…(笑)

田島 人間って一生、知ってることより知らないことの方が多いですよね。だから、新しい部署に配属されるという「想定外」はむしろ「新しいことに出会う」チャンスかもしれないということです。

竹川 4月から自分では予想もしなかった部署に異動になって、不安になっている方も、自分の新しい才能を引き出すチャンスなのかもしれませんね。

田島 そうそう、視点を変えることでピンチもチャンスに変わるんですよ。

                       (取材・文 永野久美)

※次回の更新は4/26(金)です。


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