バチバチに敵対する人たちを味方に引き入れる「すごい質問」とは?ビジネスにおける対立を解消するにはどうすればいいのか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

日々仕事をする中で、敵対する相手に出くわさないことはない。敵を味方にする方法はないだろうか。実は、対立を解消するために有効な方法がある。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

「敵を味方にする」ために
効果的な手法とは?

「敷居を跨げば七人の敵あり」といわれる。

 一歩、社会に出れば、敵対する相手が必ずいる。顕在化している訴訟の相手ばかりではない。買った会社と買われた会社の対立、営業部門と管理部門の論争、リーダーとメンバーの断絶……枚挙にいとまがない。

 国と国との争いは、その際たるものだ。国家間の紛争に思い至ると、私は、戦死した伯父が懐に入れて出征した寄せ書きされた日章旗が、敵国だった米国軍人に託されて戻ってきたことを思い出す(『元米兵から返還された伯父の日章旗、 個の信頼関係が国の争いを超えた日』参照)。

 戦勝国が没収した戦利品が戻ってきたのではない。伯父と米国軍人はルソン島で取り残され、ともにバナナを食べながら生き延び、米国の帰還船が到来したときに、米国軍人が伯父から託されたものだと、米国軍人の遺族は言う。伯父が命に代えて携えてきた日章旗を、敵国の軍人に託すほどに、日米軍人の対立は解消していたのだ。

 戦争の当事者同士がこうなるのだ。ビジネスにおける当事者同士の対立を解消する術はないのだろうか。敵と信頼関係を築き、敵を味方にできる方法があるはずだ。それを見極めるために、20年来、さまざまな企業の各層の対立を解消するためのスキル発揮演習を実施してきた。

 いまだに、一つのスキルで、即座に対立を解消できる手法をモデル化することはできていない。しかし、私は諦めていない。これからも演習を続けながら、より短時間で対立を解消する効果をもたらす手法をモデル化していく。それが私のライフワークだ。

 即座に対立を解消できる手法はモデル化できていないが、それでも、ある程度対立を解消し、それを平均3回繰り返せば、ほとんどの対立を解消できる手法はある。その手法について、次ページ以降で紹介しよう。