「今年の目標は全国制覇だ!」
既存の延長線上ではない目標を掲げた赤木

 一つ目の成長ステップは、大きなビジョンを掲げることです。冒頭の通り、桜木も高い目標を掲げていましたが、バスケ部主将の赤木もまた、入部当初から「全国制覇」という大きなビジョンを掲げていました。

 万年初戦敗退なのに、根拠もなくそのような目標を掲げたため、チームメイトからは煙たがられ、赤木は孤立し、小暮(後の副主将)以外の同級生は部を去っていきます。それでも赤木はブレない。桜木や流川ら新入部員を前にしても「今年の目標は全国制覇だ!」と言い切りました。

 大事なのは、「既存の延長線上ではない視点から目標を立てている」ことです。湘北は前年も、前々年も予選1回戦で敗退しています。その主将が全国制覇を口にしても説得力はありません。それでも赤木は、目標を周囲に主張し続けました。その結果、桜木や流川、宮城、三井のような同じ志を持つ仲間が集まってきたのです。

 目標を立てる時、多くの人は自分たちが「こうなりたい!」という理想を示すよりも、過去の数字や実績、現在の環境に基づいた根拠のある目標を立てがちです。それは確かに達成しやすいですが、消極的な目標設定になってしまい、理想とはかけ離れてしまいます。

 大切なのは、目標を実現させようと思う強い心と行動です。「こうなりたい」という「Want思考」で目標を立て、すぐに達成できるかは別として、実現するための行動をとる。その積み重ねが、次第に目標達成の根拠になっていくのです。