現実的なエネルギー・環境政策を!

 日本のエネルギー政策は、ビジネスに直結する。最近は九州が半導体産業の誘致を機に息を吹き返しているが、なぜそれほどビジネスの訴求性があるかというと、安価で安定した電気料金に支えられているからだろう。また、原子力発電の再稼働がどうなるのか、LNGや原油が高騰する時期(今まさにそうだが)、それでも原子力発電の再稼働に頼らないのかも争点だ。

 そして、再生エネルギー関連事業は今後、どのように展開するのだろうか。個人的には、日本の電源構成で再エネに大幅に頼る未来図を、公表する必要はないと思う。なぜなら、再エネを増やすことで、LNGの使用が減少することになる。LNGや天然ガスを売る側の国だったとして、それらを減らすと堂々と宣言している国を、お得意様として見なすことは決してないだろう。そうすると、調達交渉では途端に不利になる。

 これは筆者からの提案だが、速やかに原子力発電の再稼働を検討し(政治だけで決められないことは承知しているが)、エネルギー問題を減らすと同時に、セカンドプランとして再エネがうまくいかなかった場合のLNG使用量を見直し、国際社会から理解を得てはどうだろうか。

 また、温室効果ガスの排出量算定も気になるところだ。現在、大手を中心に各企業では温室効果ガスの算定にまい進している。しかし、現実的に2050年カーボンニュートラルまでのロードマップを完成させているような企業は稀有だ。いや、正確には、ロードマップの青写真を描いている企業なら多い。しかも、それが科学的かというと疑問に思う。

「今後、イノベーティブな技術が開発され、カーボンニュートラルを達成する」などとお茶を濁している企業が大半だ。きっとそう書いている側も「2050年には定年退職しているしな…」などと思っているのだろう。

 もし、温室効果ガス自体が否定されるようになったら…。そうなった場合、企業も社会も大混乱するだろう。それに、一貫した政策でなければ投資も進まない。