中小零細企業を苦しめる減価償却年数の見直しを!

 これは行政と立法にも関わる話なのだが、筆者は以前より減価償却年数の見直しを唱えている。

 減価償却年数をごく簡単にざっくり説明すると、投資したときにコスト化する年数だ。1億円の投資をするとき、1億円はその事業年度にコストとして損金にするのではなく、減価償却年数で割ってコストに計上しなければならない。だから現金は1億円がなくなっても、その金額を利益から差し引けない。

 問題は、その減価償却年数が長いことだ。減価償却年数が長いほど税金が高くなる。短いほど、税金が安くなる(短期間でコスト=損金として計上できるので利益が減るため)。上場企業に比べて経営体力の乏しい中小零細企業からすると、とにかく税金を抑えたいし、余裕があれば再投資したい。しかし、減価償却年数が長いことが、投資を抑制してしまう。何より問題は、減価償却年数が実態と乖離(かいり)している。

 例えばノートパソコンは4年、事務机は15年に設定されている。その他、挙げれば切りがないほど、実態はもっと短い年数で廃棄するものが長いままになっている。
※参照
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf

 筆者の提案は、キャッシュフローに課税することだ。ただ、そこまでの大きな改革ではなくても、減価償却年数を実態に合わせて修正してほしいと切に願っている。これで中小零細企業の投資が進むだけでなく、中小零細企業の実態が明確になるはずであり、日本経済が良くなることに必ずつながる。

 岸田首相は、“増税メガネ”とやゆされながら、特段大きな増税を実施したわけではなかったと思う。外交では広島サミットなどで成果を出し、株価も歴代首相の中では上がった方だ。防衛面でも前進があったと感じる。次に首相の座に就く人物も、混迷の時代において大変なかじ取りを迫られるはずだ。ぜひとも国民を幸せに導くような経済政策に期待したい。