人間に備わっている夢のような能力「自己覚醒」とは?
実は目覚ましなしで、休日のように毎日自然に目覚めることは、睡眠時間が短くても実現できる。
人間は、「自己覚醒能力」という、自分が起きたい時刻に起きられる夢のような能力を持っているのだ。その能力をフル活用すれば、目覚ましなしで起きることができる。
この自己覚醒能力については、目覚ましなしで起きられる人と、目覚ましがないと起きられない人を比べた興味深い実験がある。
目覚ましなしで起きられる、つまり「自己覚醒」できる人は、目が覚める1時間前から、心地よく目覚めるのに欠かせない「副腎皮質刺激ホルモン」の分泌が緩やかに上昇し始め、気分よく目覚めることができた。
一方、目覚ましで強制的に起こされた人の副腎皮質刺激ホルモンは上昇せず、目覚めの気分はよくなかった。
自己覚醒能力の高い人は、起きる時間に合わせて副腎皮質刺激ホルモンを分泌し始め、目覚めてすぐ活動できるよう脳と体の準備を整えているのである。
つまり、自然な目覚めができるようになれば、心地よく起きられるだけでなく、すぐに活動できる準備が整った状態で起きられるのだ。
5時に起きたいなら、枕を「5回」叩く
では、目覚ましがないと起きられない人が、どのように自然に起きられるようになるのか。
方法は単純だ。「何時に起きたいか」を強く思い描くだけでいい。それだけで、起きたい時刻に起きられるのである。
嘘のような話だが、効果は実験でしっかりと証明されている。この実験では、被験者Aに「明日、6時に自分で起きてくださいね」と伝え、時計のない部屋で寝てもらう。
一方、被験者Bには「明日、9時に自分で起きてくださいね」と伝え、時計のない部屋に寝てもらい、不意を突いて6時にたたき起こす。被験者Bにとっては少々酷な実験だ。そして双方の副腎皮質刺激ホルモンの分泌過程を調べる。
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結果、被験者Aは、6時の起床に向け、4時30分ごろから副腎皮質刺激ホルモンが増えだした。体が自然に、起きる準備を始めたのである。
一方の被験者Bは、6時の時点でも副腎皮質刺激ホルモンの分泌は停滞したまま。体が9時に起きるつもりになっているのだから仕方がない。
そして6時にたたき起こすと、副腎皮質刺激ホルモンの分泌が一気に増えた。予定していたよりも急に早く起きなければならなくなり、体がフル回転で副腎皮質刺激ホルモンを分泌させ始めたのだ。
酷な実験を課しておいてなんだが、あまりいい目覚めとはいえない。
つまり、「〇時に起きよう」と意識するだけで、その時間に起きるように体内時計を調整する機能が人間には備わっているのである。もちろん、目覚まし時計のように時間ぴったりというわけにはいかないが、起きようと意識した時刻の前後15分程度であれば、自然に目覚めることはできる。
その精度を高めるためには、起きる時刻の数だけ枕を叩くのが効果的。5時に起きたいなら、1から順番に数字を声に出しながら、枕を5回叩く。これは記憶中枢に刻み込む作業で、自己暗示としては高い効果が得られる。加えて、「自分は絶対に起きられる」と信じ切ることで、自己覚醒能力はより高まる。
気軽に取り組めるので、ぜひ今日から実践してほしい。