正解は…

(1)K社は銀行、L社は自動車メーカー、M社はテーマパーク運営会社。

(2)「投資すべきでない」と判断できる会社はありません。

銀行業は自己資本比率10%でも財務に問題なし

 K社のような銀行業では、資産に貸出金、負債に預金が入ります。

 ところで、多数の店舗を持つ大手銀行で、有形固定資産(建物や土地)がたった4%しかないのは変だと思いませんでしたか?

 実はまったく変ではありません。確かに店舗資産は大きいですが、それをはるかに上回る巨額の貸出金や預金があるので、有形固定資産は比率にすると小さくなります。

 また、K社は自己資本比率が10%しかないので「財務に問題あり」と思った方はいませんか?

 銀行業は、BIS基準(国際的な自己資本規制)で計算した自己資本が8%を超えていれば良いとされます。

 国内だけで業務を行う銀行に対する国内規制では自己資本比率4%以上で良いことになっています。

L社は自動車メーカー、M社はテーマパーク運営会社

 L社の流動資産(50%)は流動負債(35%)より多く、自己資本比率が35%あるので、財務に問題はないと考えられます。

 M社のようなテーマパーク運営会社は現金商売。売掛金や受取手形はほとんどありません。

 保有する資産は有形固定資産(機械設備、建物、土地)がほとんどです。

 流動負債(15%)を上回る流動資産(30%)を有し、自己資本比率は60%と高いので、財務は良好と考えられます。

適切な自己資本比率は業種によって異なる

 自己資本比率だけで財務の良し悪しは判断できません。業種によって適切な比率が異なるからです。

 金融業は自己資本比率10%でも、不良債権が多くなければ問題なし。ただし、たとえば製造業で自己資本比率が10%しかなかったら、財務は厳しいと見るべきです。

(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)