フェイスブックは遠隔操作で
ユーザーの会話を盗聴可能

 監視は、顧客にほとんど通告されずに行われるかもしれない。フェイスブックはすでに、スマートフォンのマイクを遠隔操作でオンにして録音を開始し、ユーザーの会話を盗聴できる特許技術を持っていることを認めているが、その使用については否定している。2018年には、アマゾンの家庭内デバイス「アレクサ」が人間の会話を盗聴していることが発覚した。

書影『新しい封建制がやってくる: グローバル中流階級への警告』(東洋経済新報社)『新しい封建制がやってくる: グローバル中流階級への警告』(東洋経済新報社)
ジョエル・コトキン著、寺下滝郎訳

 こうした不正侵入は、いったん露見すれば、少なくとも一時的には停止される場合が多いが、テック企業にとってプライバシーの優先順位は低いと考えるのが妥当であろう。グーグルのエリック・シュミット前最高経営責任者(CEO)は、かつてCNBCのインタビューにこう答えている。「誰にも知られたくないことがあるのなら、最初からやらないほうがいいんじゃないか」。

 テックオリガルヒによる監視下の生活という未来は恐るべきものだ。労働社会研究センター(CLASS)理事長で作家のエリーメイ・オヘイガンは、「もしもエクソンモービルが同じように私たちの生活の隅々にまで入り込もうとしたら、その影響力を抑えようとする草の根運動が起こるかもしれない」と『ガーディアン』に書いている。

 そろそろ私たちは、個人の政治的立場に関係なく、今日の「恵み深き富裕階級」がもたらす自由への脅威を認識すべきときにきているのではなかろうか。