22年1月、弁護士ドットコムが一般会員1355名を対象に「誹謗中傷をしたことがありますか?」とアンケートを実施したところ13%の人がある「はい」と回答をした。その人たちを対象に「誹謗中傷を投稿した動機」を質問したところ、なんと半数は「正当な判断・論評だと思った」(51.1%)というのだ。

 つまり、誹謗中傷をする人たちの中には「罪の自覚がゼロ」どころか、正しいことをしたくらいに思っている人がかなりの割合でいるのだ。それは筆者も身をもって感じている。

 実はこれまで取材などでSNSでアスリートに誹謗中傷を繰り返している人たち何人かに会って話を伺う機会があった。そこではほぼすべての人が「自分は悪いことをしていない」と思っていた。

「不甲斐ないプレーに対して思っていることを投稿しただけ」「負けたのが悔しくてカッと頭に血がのぼってしまった」「ほんの冗談のつもりだった」などなど、実に多種多様な「言い訳」がなされたのだが、おしなべてこんな認識だった。

「誹謗中傷は決して許されることではない」「匿名でアスリートを叩くなんて卑怯者のやること」

「はあ? そいつら頭おかしいんじゃないの?」と呆れるかもしれないが、みなさん大真面目な顔で仰るのだ。中には、もし応援しているアスリートに誹謗中傷をしている卑怯者を見かけたら、このアスリートを守るために逆に「死ね」「殺してやる」など誹謗中傷で返り討ちにしてやる、なんて鼻息荒く語るような「正義感の強いファン」もいた。