低迷が続くJ-REITだが、8月の日本株の暴落局面では底堅さを発揮。分配金利回りは4%台後半で高止まりしており、歴史的な割安水準にある。特集『二番底か高値奪還か 最強株で勝つ!』の#9では、今後のJ-REIT市場の見通しやオフィス、物流、ホテルなど投資対象別の強弱、さらには今から期待できる銘柄について専門家に聞いた。また、復活が期待される一方で、金利上昇よりも深刻なREIT市場が長期低迷に陥るリスクについても紹介する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
底堅さを発揮しつつも
歴史的な割安水準
今回の7月下旬から8月5日の日本株の急落局面において、相対的な底堅さを発揮したのがJ-REIT(不動産投資信託)である。暴落前の7月1日と9月11日を比較すると、日経平均株価が7%下落しているのに対して、東証REIT指数は2%上昇しているのだ。
ただし、これは日経平均が史上最高値水準だったのに対して、REITの価格が安値圏にあったからでもある。実際、東証REIT指数は2021年7月に2200ポイントを付けて以降、上値を切り下げる展開が続いている。
9月12日時点の東証REIT指数は1749ポイント。平均分配金利回りは4.7%台まで上昇している。
みずほ証券の大畠陽介シニアアナリストは「二つの要因でREITは低迷してきたが、歴史的な割安水準と言っていい」と指摘する。
東海東京インテリジェンス・ラボの中村貴司シニアREITアナリストも「今のREITはスーパーディスカウント状態。NAV(Net Asset Value)、分配金利回り、イールドスプレッドのどれで見ても割安感が強い」とコメントする。
「5%の分配金利回りということは、単利でも20年で倍になる。為替リスクもなく(約99%が円建て資産)、下値リスクも小さい。値上がり益も狙える今の局面は、時間リスクの取れる個人投資家にとっては買いの好機といえるだろう」(中村氏)
為替リスクを負わずに「5%近い分配金利回り」がもらえる金融商品であるJ-REIT。個人投資家の注目度は高まっているが、果たして今後はどうなるのか。
次ページでは今後のREIT市場の動向を分析しつつ、投資対象別の強弱、さらには具体的な注目銘柄も紹介。当面は反発が期待できるREIT市場だが、「万年割安商品」に陥りかねないリスクとその対応策についても詳述していく。