ホイールベースは長いが、全長はSクラスより短い

 次に目に留まるのは、前後ともにオーバーハングが異様に短いことだ。

 EQSの航続可能距離は、日本で販売されるEVの中で最長の700km。これだけ大きなクルマを長距離走らせるのだから、バッテリーはそれなりの容量が必要だ。大きなバッテリーをフロア下に積むには、可能な限り床面積を広く取る必要がある。前後のタイヤをできるだけ離して(つまり、ホイールベースを大きく取って)、床面積の拡大に努めている。

 EQSのスリーサイズは全長×全幅×全高=5225×1925×1520mm。ホイールベースは3210mmである。ほぼ同じ大きさである、ICEのSクラスロングボディのサイズと比較してみよう。全長×全幅×全高=5290×1930×1505mm。ホイールベースは3215mmである。

 ICEのSクラスの方が65mmも長いのに、ホイールベースは5mmしか変わらない。EQSのそれがいかに長いか、お分かり頂けよう。

電気自動車のEQS、ICE車のSクラスロングボディ上が電気自動車のEQS、下がICE車のSクラスロングボディ。ノーズ長の違いにご注目(広報写真)

 床下に積まれたCATL(寧徳時代新能源科技)製のバッテリー重量は実に690kg。スズキ アルトの重量が680kgだから、軽めの軽自動車1台分のバッテリーが床下に置かれていることになる。ただ、大きく重いだけではない。エネルギー密度が非常に高い。容量107.8kWh。バッテリー1kg当たりの容量は0.156kWhになる。

 これにより700kmという、EV最高クラスの走行距離を実現しているわけだ。悪名高いフェル電費でも500kmは楽勝で走れるだろう。電池残量を気にせずどこへでも行ける。ドキドキしながら走るのは精神衛生上悪いですからね。