中国電力で今年6月、同社初の女性の社内取締役が誕生した。旧一電と呼ばれる電力大手10社においても女性の社内取締役は極めて珍しい。しかも業界未経験のキャリア採用で東京出身と、地方の電力会社では異色のキャリアだ。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、中国電取締役常務執行役員の外林浩子氏へのインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
東京出身・40代でキャリア採用
それまで電力業界は未経験!
――まずは中国電力に入社前のキャリアを教えてください。
東京出身で、大学を卒業して最初に就職したのは学術書の出版社。編集者見習いから始めて、骨が折れるけど良い経験をしました。家族の転勤に伴い、1991年ごろ広島へ。縁あって広島で英語の専門学校の運営・企画の仕事に就きました。
そのうち広島でバイリンガル教育をやる幼稚園がなかったのでつくろうということになりました。幼稚園はどうやってつくるのかどこにも書いていないので、想像力を膨らませて、「必要なものは何なんだろう」と。英語教育のメソッドは学校が持っていましたのでそれを中心にしながら、いかに選んでいただける幼稚園にするかと宣伝、制服、給食を考えたり……。開園したのが2002年ぐらいでした。
一方、当時の中国電力は電力一部自由化が始まっていて、電気事業以外の事業の立ち上げラッシュだったころでした。そこで新規事業の立ち上げを経験したことがある人を募集していました。ちょうど幼稚園をつくったころだったので、新規事業といえばこの経験もそうかなと、楽しかったことや苦労した点を20~30枚ぐらいのレポートにまとめて提出しました。その後に面接、そして採用となりました。何も電力会社のことを知らなかったのですけど、「電力以外のことができるのかなあ」ぐらいの軽い気持ちで04年に入社しました。