水道橋博士がタレント本を書きたい
伝説の漫才師とは

――本書は、博士の多彩な交遊録が垣間見えるのも魅力の一つだと思います。意外なところでは、知る人ぞ知る、ライターの石丸元章(げんしょう)さんともお知り合いだったのですね。

 石丸さんが自らの覚醒剤体験や逮捕されるまでを描いた『SPEED』(1996年、飛鳥新社)がめちゃくちゃ好きでね。ある雑誌で「みんな悩んで大きくなった」っていうテーマで、自慰行為に関する対談をやってそこから仲良くなったんですよ(笑)。

 かつて石丸さんは重度の薬物依存症だったんですが、僕と出会った頃は完全に辞めていて。それで一緒に台湾旅行までしました。

 残念なことに、最近はあまりライターの仕事はされていないと聞きましたね。でも、都知事選で話題になった石丸伸二さんっているじゃないですか。僕の好きなライターの石丸元章の名が消えていこうとしている時に、思わぬところから“石丸現象”が出てきてきたかと思うと感慨深いものがあります...。

――島田紳助さんの著作も評価されていますね。紳助さんは、博士とは、あまり交わらないような印象でした。

北野武と松本人志「映画」との向き合い方にみる“意外な共通点”とは?島田紳助さん(左) Photo:JIJI

 紳助さんの『いつも風を感じて』(2004年、KTC中央出版)をはじめ、一連の著作はほとんど読んでますよ。昔、京都に住んでるライターの柳田(光司)君に、『ハイヤング京都』(KBS京都)っていうラジオ番組の最終回に紳助さんが出演した録音を送ってもらい聴いたら、本当に素晴らしくて。紳助さんご本人にもそれを伝えたら「あれ、聴いてくれたんか!」って言ってくれました。

 あと、僕が以前に、“日本最大のメールマガジン”と銘打って配信をしていた「メルマ旬報」で、紳助さんが漫才師として売れるために作ったという「漫才の教科書」を探し出すまでのノンフィクションを柳田君に連載してもらっていたんですよ。最終的にはたどり着けなかったんですけど、まだその野望はありますね。

――その連載と同じように、形にしたいタレント本はありますか?

北野武と松本人志「映画」との向き合い方にみる“意外な共通点”とは?上岡龍太郎さん Photo:JIJI

 昨年亡くなった上岡龍太郎さんですね。上岡さんのマネージャーをされていた方が、うちの事務所に入社してきたのでチャンスこそあったんですが、完全なインタビューはできませんでした。

 上岡さんが隠居生活に入られてからも親しくされていた方はいらっしゃるんだけど、「こういう風に言っていたそうです」みたいな内容じゃなくて、もっと根本的な本にしたかった。上岡さんのお弟子さんだった、ぜんじろうが書いてもいいように思うんですけどね。引退後も、上岡さんと接して漫談もしていますし。

 ぜんじろうは、僕がスタンダップコメディ協会の外部会員のようになった後、わざわざ自宅まで来て、「ライブに出てください」ってお願いされてから仲良くなりました。僕が参院選に出ることになったら、応援演説にも来てくれました。