キングメーカー争いも
総裁選挙のもう1つの焦点
こうして考えると、9人で争う総裁選挙は、小泉氏を軸に、実質4人の争いということになるが、これからのキングメーカーが誰になるのかも焦点の1つになる。
もし小泉氏が勝てば、菅氏の影響力が強まるのは確実だ。一時、出馬に意欲を示した齋藤健経済産業相(65)を高く評価してきた菅氏の脳裏には、「小泉首相、齋藤官房長官」という絵柄すら浮かんでいるのではないだろうか。
実際、小泉氏と齋藤氏の関係は良好で、衆議院第1議員会館3階にある小泉氏の事務所と同8階にある齋藤氏の事務所では、頻繁に両者が会談を重ね、党改革案を練ってきた。
それを知る菅氏なら、齋藤氏か、行政手腕を高く買っている加藤氏のどちらかを、「かわいい進次郎」の女房役につけたいと考えるだろう。
次期キングメーカーと言えば、岸田文雄首相(67)もその有力候補だ。正式に解散したばかりの旧岸田派から、林氏と上川氏の2人の候補者を輩出し、2人とも圏外であったとしても、決選投票で誰に乗るかで影響力は保てる。
これに対して厳しいのが麻生氏で、麻生氏は河野氏が勝たない限り、勝ち馬には乗れず、小林氏か高市氏が2位以内に食い込まない限り、キングメーカーの座から転がり落ちることになる。
それに伴い、唯一現存する派閥、麻生派は大幅な縮小もしくは解体へと向かい、麻生氏自身にも、すでに次の総選挙に不出馬を表明した二階俊博氏(85)と同様、「引退」の2文字が現実味を帯びてくる。
(政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授 清水克彦)