これに対し、日本に多い黒ぼく土は有機物が多いものの酸性で、アルミニウムイオンが溶け出して作物の害になる上にリンが欠乏しやすい特徴を持ちます。チェルノーゼムほど良い土であるとは言えません。しかし、日本は土壌のpHを修正できる石灰を国内で100パーセント自給できる国です。

 日本に住んでいると水が豊富な国に思えますが、世界的に見ると意外にも日本の使える水はあまり多くありません。せいぜい世界の平均程度です。しかし、ため池やダムなど貯水施設をたくさん作ったり、水を多く使う工場は使った水を回収して再活用するなどして水量を確保しています。

 何年かに一度どこかで渇水が問題になったりもしますが、外国でよく起こる大規模な干ばつはまず発生しません。反面洪水はよく起きるのですが、川の規模が小さく治水の水準も高いため、堤防が決壊したりしても被害は比較的小さな面積ですみ、水も短時間で引きます。大河を擁する外国の洪水では、日本の都道府県2~3個分の面積が水没し、2~3カ月水が引かないなどよくあることです。

 ちょっと油断すれば悪魔のように生えてくる雑草は、農業生産上の大敵ですが、特に対策しなくても土壌浸食を最小限に抑えてもくれます。