「組織の成長」には「個の成長」が不可欠
共創体験を伝播していくことが成長のカギ
島田 例えば、「社会の公器として人々の幸せを実現する」という経営理念の会社があるなら、人々の幸せというのは社員の幸せでもあり、ステークホルダー全員の幸せでもある。そうした人たちに、精神的にも経済的にも幸せを提供していくためには、個の成長やチームの成長は絶対条件だと思うんですね。
ただしその根底には、常に「組織が最終的にどこをめざしているのか」という理念がなければなりません。その理念を実現するために、組織は成長し続けていかなければならないのだと思います。
森林 ある人が組織に属していれば、根源的にその組織を良くしたい、そのために自分も成長したいという向上心を持っているはずです。そうした向上心をつぶすような組織にはしてはいけない。常に個や組織が向上心を持ち続けるためには3つ、大切なことがあると思っています。
ひとつは、目標をしっかりと掲げること。それは上から降ろした目標ではなく、皆でつくった、実現したら楽しそうなワクワクするような目標です。
2つめは、たとえ目標が遠くても少しでもそこに近づいている、時間はかかるかもしれないけれど成長していると、実感できること。どれだけがんばっても目標に近づいていないと感じると、人間というのはモチベーションが下がってしまいますからね。
3つめは、「共創」です。同じ組織内で勝った負けたを「競争」するのではなく、そこにいる人たちは最終的には仲間であり、自分を助けてくれることもある。皆の力を結集しながら、成果を上げ、目標達成へと向かう意識です。人手不足の昨今、今いる人のパフォーマンスを最大化するにも、共創の意識が重要だと、最近特に感じています。これはスポーツの分野だけでなく、企業の組織においても共通する部分ではないかと思います。
宮本 目標を達成したとき、全員で味わう充実感があります。その思い出は消えることはありません。「あの時、一緒に大事な一歩を乗り越えたよな」という体験は、後年、別の立場になっても、さまざまな形で適用することができます。そのように、ひとりひとりが自分の体験を伝播していく。それが組織の成長にもつながるのではと思います。
ウルヴェ お三方の貴重な体験をもとにしたお話、大変学ぶところの多いものでした。皆様にとっても有意義なものになったのではないかと思います。本当にありがとうございました。