「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャンだ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の 能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? 同書の著者に秘訣を教えてもらった。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「人間関係がうまい人」が無意識にしていること・ベスト1Photo: Adobe Stock

Q.相手にいい印象を与えるコツは?

――内向型の人だからこそ持っている、大人数の場で相手にいい印象を与えられる強みがあれば教えてください。

とにかく話をよく聞く

ジル・チャン氏(以下、チャン氏) 私自身、社交的なイベントに参加して友だちができたという経験は一度もありません(笑)。ただ、人間関係のうまい人を見ていると、とにかく話をよく聞いていることがわかります。これは、内向型の人が無意識にやっていることです。

『「静かな人」の戦略書』にも書きましたが、内向型には次のような強みがあるんです。

 1つ目は、「傾聴力」があること。

 内向型の人は相手の話を注意深く聞いて、的を射た受け答えができます。これによって、相手は、「この人は自分のことをわかってくれる」と感じるのだと思います。

 2つ目は、「人の話に集中できる」こと。

 外向型の人なら、交流会などの社交イベントでは、その場を蝶のようにせわしなく移動して、いろんな人に話しかけるでしょう。

 一方で、内向型の人は、次々といろんな相手と話すことはできないかもしれません。

 ですが、少ない人数での交流を大切にすることで、それぞれの相手への興味がしっかり伝わると思います。

話をじっくり聞いて、深い関係を築ける

チャン氏 最後に、「深い関係を築ける」ことです。

 たとえば、内向型の人が社交的な場で3人で話したとします。そうすると、その後その3人は、それぞれが全員に対して「今日は話せて楽しかったです」などとメッセージを送りあったりします。

 そういった内向型の思いやりや共感にあふれた行動は、人と長く続く関係性をつくるカギになります

 外向型の人であれば、パーティで50人もの相手と話せるかもしれません。しかし、それでは一人ひとりの話を深く聞けないので、そこから長期的な関係が生まれることは、意外と多くないんです。

 深い人間関係を築くコツは、相手にしっかり集中してじっくりと話を聞くことで、それは内向型が得意としていることなんです。

※本記事は、『「静かな人」の戦略書』の著者に話をうかがったものです。