経済学者のジョン・メイナード・ケインズによれば、アニマルスピリッツとは、「実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意」を意味します。海外の投資家たちは、日本の社会全体や企業経営から血気と活力が衰えている、つまり「アニマルスピリッツ」が日本経済から失われていると見ているのです。
日本経済と日本企業には魅力がないと判断した海外機関投資家は、投資額全体に占める日本株のウエイトを落とし続けています。
米国の代表的な株価指数であるS&P500は過去30年で約9.1倍に上昇し、ドイツの株価指数も約7.4倍になっているのに対し、日経平均株価は1989年12月29日の大納会で付けた史上最高値の3万8957円から30年が経過した今も、高値を更新できないまま(図表1)であり、日本株が投資対象として魅力を失っていることは事実です。
同時に、日本の名目GDPが世界経済に占めるウエイトも15%から5%台にまで縮小し、日本の相対的位置付けは低下し続けています。
さらに、国民の豊かさを図る尺度でもある「国民1人あたりGDP」は、2022年時点で3万3821ドルと世界30位。図表2を見ると、日本は過去30年にわたって4万ドル近辺で停滞しており、シンガポール(6位)や香港(20位)に抜かれ、台湾(33位)や韓国(34位)にも迫られています。
これらの数字からわかるように、日本はもはやアジアの盟主ですらなく、先進国の中でも貧しい国のひとつになっています。