現金の収支が把握できる
CF計算書の基本を解説!

 両社のCF計算書について解説する前に、CF計算書の基本的な読み方についておさらいしておこう。

 CF計算書を作成する目的は、1年間を通じた現金の出入り(収支)を示すことにある。「勘定合って銭足らず」という言葉があるが、これは、損益計算書(P/L)上は利益が出ていたとしても、現金が足らなくなってしまっている状態を指す。

 そこで、会社の経営状態を分析する際には、支払いに必要な現金が足りているか、現金をどのように稼ぎ、そしてどのように使っているのかを把握することが重要だ。CF計算書からは、こうした現金の動きを見ることができる。

 CF計算書についても、貸借対照表(B/S)やP/Lと同じように、図解して読み解く方法が有効だが、その形式はB/SやP/Lとは異なる。CF計算書を図解する場合には、「ウォーター・フォール・チャート」にすると分かりやすく示すことができる。

 このウォーター・フォール・チャートは、期首に保有していた現金が、営業活動、投資活動、財務活動によってどれだけ変動したのかを示すグラフだ。

 次の図は、CF計算書の基本構造をウォーター・フォール・チャートで表したものだ。グラフの一番左は期首に保有していた現金残高、一番右には期末の現金残高が表示されている。そして、その間には営業活動によるキャッシュ・フロー(以下、営業CF)、投資活動によるキャッシュ・フロー(以下、投資CF)、財務活動によるキャッシュ・フロー(以下、財務CF)という3つのCFが示されている。