そのため、負担はなるべく具体的に記載するほうがよいです。負担を履行しているか否かが本人はもちろん遺言執行者や他の相続人から見てもわかるようにです。なお、この場合、お目付け役の遺言執行者を負担を履行する相続人(条項例(5)(6)の場合は長男)に指定するのは避けましょう。自分で自分のことをチェックするのは難しいからです。

自宅の所有権は子どもに
配偶者居住権は妻に遺贈する条項例

 配偶者居住権というのは文字どおり夫亡き後も配偶者が住み慣れた家に無償で住み続けられる権利です。

 条項例(7)は自宅の所有権を子どもに相続させて、妻にはそこに住む居住権だけを取得できるようにするというものです。

条項例(7)

第○条 私は長男○○○○に次の土地および建物を相続させる。
    (土地および建物の表示 省略)

第○条 私は妻○○○○に前条の建物について配偶者居住権を遺贈する。

 そもそも所有権というものには当然居住する権利も含まれていますので、最初からシンプルに所有権を妻に相続させれば済むはずです。

 では条項例(7)のように妻に所有権ではなく配偶者居住権を遺贈する夫の目的は何でしょうか?所有権があれば当然住むことも貸すことも売ることもできますので、住むだけの配偶者居住権よりも相続財産としての評価額は高くなります。