その子はその後、自分では行きたい大学を決められず、やはりお母さんの意向で専門職に就くための大学を受験させられ、入ったものの、半年ほどで嫌になって退学してしまいました。大学を自分の意思でやめて以降、自意識が芽生えたのか専門学校に入り直し、現在では、得意な接客を生かした仕事を生き生きとしています。

 偏差値や受験に振り回されたケースのように見えますが、最終的に自分のやりたいことにたどり着けて良かったと思います。この例のように、本人の「こころの脳」(編集部注/論理的思考と問題解決能力を司る前頭葉)が育ち、「母のコントロール下にいてはいけない」とハッと気づいたときから、自分の人生を模索すればそれでいいのです。

親が持つべき最も重要な軸は
子供を健やかに生かしておくこと

 子どもが自分の人生の軸をしっかり作っていくためには、まず親がしっかりとした軸を持つことが大切です。親が、偏差値などのランキングや自分のかけた時間やお金といった目先のことに惑わされていては、子どもも自分の軸を作ることができません。