偏差値は単なる入試の難易度にすぎない――。子にとって最善の学校を選ぶために、親が知るべきことは何か。SAPIXの広野雅明先生に「中学受験の素朴な疑問」をぶつける連載。第7回(全12回)は「学校の選び方」を取り上げる。(聞き手・文/教育アドバイザー 鳥居りんこ)
SAPIX古参講師だから知っている
「本当にいい学校の共通点」
――親の願いは、子どもが自立し豊かで幸せな人生を送ることだと思います。そのためには多額のお金と時間を費やしてでも、子どもにとってベストな学校に入学させたいという親御さんもたくさんいます。そういう親御さんのために、これから伸びそうな学校や期待できる学校を教えていただけますか?
学校の先生方のエネルギーが重要だと思っています。最近で言えば、受験者数も増加している男子校の足立学園と佼成学園などは、学校全体にエネルギーを感じます。一部の先生だけではなく、ほとんどの先生が学校をより良くしようということで一生懸命やっている。子どもたちも学校に来るのが楽しそうで、しかも夢中になって何かをやっているから、その姿にとても好感が持てます。
学校自体が成長しているから、そこに通っている子どもたちもすごく元気。学校が次から次へと新しい策を出してくるので、生徒もうまい具合にそれに乗っています。
女子校では、最近は湘南白百合にすごいエネルギーを感じます。今まではどちらかいうと保守的な印象でしたが、ここ最近は学校改革によって、生徒の自主性を大事にしています。このことが学校全体に大きなエネルギーを与えています。
注目すべきは、そういうエネルギーのある学校です。学校に灯を点けるとき、その火付け役になるのは、校長先生か入試広報の先生です。やはり校長先生や入試広報の先生が積極的な学校はエネルギーを感じます。
私は毎週のように様々な学校を訪問していますが、それとは逆に代々木(※SAPIX小学部を運営する(株)日本入試センターがある場所)にわざわざお越しになる先生もいらっしゃいます。
代々木から遠く離れているにもかかわらず、毎年、必ず来てくださる学校の先生もいます。お見えになった先生方は、「今度、こういうことをやりますから」などと熱心にお話しくださいます。いろいろと教えていただく内に興味を持ち、実際に学校へ行ってみることもありますし、そういった面白いお話を、いろいろなところで取り上げるようにしています。