オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列#6Photo:tuncaycetin/gettyimages

「オーナー企業大国」の日本において、最強のオーナー企業は――。『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化してランキングを作成した。特集『オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列』の#6は、輸送用機器39社の業種別ランキングをお届けする。8位にトヨタ自動車、4位にスズキが名を連ねた。トップ3は?(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

世界一の自動車メーカーは
豊田家が君臨する

 輸送用機器分野のオーナー企業で、断トツの売上高を誇るのは、トヨタ自動車だ。豊田喜一郎氏が創業者となって1937年に設立されたトヨタは、愛知・三河の自動車メーカーから連結売上高45兆円を超える日本一の企業になり、そして世界で944万台を販売する世界一の自動車メーカーにのし上がった。

 もちろん創業家である豊田家は、トヨタにおいて偉大な存在としてあがめられている。

 トヨタのルーツである喜一郎氏の父、佐吉氏の考え方をまとめた「豊田綱領」は、今でもトヨタグループ各社に受け継がれている。2020年に定義された経営理念「トヨタフィロソフィー」において、豊田綱領は最上位に位置付けられるほど尊いものとしている。

 とりわけ09年に14年ぶりの“大政奉還”で、喜一郎氏の孫である章男氏がトヨタの社長に就任して以降、さらに豊田家の“神格化”が進んだといわれる。章男氏は23年に社長を退き、非創業家出身でプロパーの佐藤恒治氏にバトンを渡した。ただし章男氏の長男で、トヨタグループ子会社で幹部を務める大輔氏が、いずれ社長に就くことは既定路線とみられる。つまるところ、トヨタグループにおいて、豊田家が君臨し続けるのである。

 では、トヨタは最強のオーナー企業なのか。

 ダイヤモンド編集部は『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「全1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化し、ランキングにした。

 ランキングには「同族支配度」についても記載している。同族支配度について、本特集#2『「非上場化しやすい」オーナー企業ランキング【キャッシュリッチな全90社】15位乾汽船、2位北野建設、1位は?』で紹介したように、改めて説明しておく。

 下表の通り、『ファミリービジネス白書』(白桃書房)を刊行している日本経済大学大学院の後藤俊夫特任教授らは、オーナー企業つまり同族企業の条件について「経営面」と「所有面」で分析。創業家による関与度によって、6段階に区分した。例えば、創業家から役員を送り出し、さらに筆頭株主であった場合は、同族支配度が最も強い「A」となる。

 次ページでは、オーナー企業のうち輸送用機器39社の業種別ランキングを一挙に公開する。世界一の自動車メーカーで“最強”のオーナー企業の呼び声が高いトヨタを制して、輸送用機器のオーナー企業トップに立ったのは?