妻が働き続ける自覚がないまま
住宅ローンの一部を担うケースも!

 そもそも、妻がいま働いているからといって、妻自身に「借金を背負ってずっと働き続ける」という覚悟はあるのでしょうか。生活設計を考えるうえでは夫婦共働きを長く続けることが望ましいのですが、とはいえ「定年まで働き続けることを具体的にイメージできない」という女性は少なくありません。私が若いご夫婦のコンサルティングをしていると、「共働きは続けるつもりだけれど、40〜50歳くらいまでかな」という女性が多いように感じます。

 しかし、仮に30歳の夫婦が一緒に返済期間30年の住宅ローンを組むなら、妻も定年まで働くことを考えなくてはなりません。夫の収入だけでは審査が通らないほどの額を借りるのですから、計画取り返済するには、妻が働き続けることが必須になるはずだからです。妻の意思を夫婦で確認しておかないと、後でお互いに「こんなはずではなかった」と後悔することになるかもしれません。

 また、妻の意思とは別の問題もあります。今後子どもが産まれれば、産休や育休などの期間は原則妻の給与収入はゼロになります。育休手当等の各種手当が受けとれますが、それまでの収入の満額をサポートするわけではないため家計全体の収入は大幅ダウンです。このことは返済計画に反映されているでしょうか? 

子どもが生まれたあとの
「収入減」も予想しておく

 さらに、保育園に子どもを預けて働くとなれば、時短勤務になったり残業できなかったりしますから、子どもがいなかった時と比べて収入がダウンするのが一般的です。年収は出産前の3分の2程度まで減るでしょう。子どもを2人産むとすると、トータルで5年ほどは収入ダウンとなります。この間は、妻の給与分は保育園代やベビーシーッター代に消えてしまうと覚悟しておいたほうがいいでしょう。年収や居住地にもよりますが、月に5万〜8万円もの支出になることもあります。保育園児の子どもが2人いる時期は、月に10万円以上の負担が発生するかもしれないのです。

 出産による家計への影響は、経験してみないとなかなか実感できないものです。現実には、産休・育休中や保育園児を育てている間は、貯蓄もままならなくなる家計が少なくありません。こうした家計の変化を折り込まず、共働きの妻の収入をあてにして住宅ローンを組むと、妻の出産や退職などで予定通りの返済が難しくなることが考えられます。

 若い夫婦が、一緒にお金を貯めた経験も実績もなく、子どもが生まれた後の生活設計を深く考えないまま多額の住宅ローンを借りるというのは、様々な面で非常にリスクの高い行為なのです。住宅購入を検討するのは、頭金と諸費用を少なくとも物件価格の2〜3割、さらに「万が一の時のためのお金」を200万円程度は手元に残せるだけのお金を貯め、家族構成や勤務地などのライフスタイルが固まってからにしましょう。

次回の掲載は5/2(木)です。


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