葬儀代を遺産から払ったら?

 例えば、相続発生時点で1000万円の預金があり、そこから200万円の葬儀代を払ったとします。そして残りの800万円のうち、長男が600万円、次男が200万円を相続したとします。この場合、「1000万円の預金を長男が750万円、次男が250万円相続し、葬儀代200万円を長男が150万円、次男が50万円負担した」と考えることになります。

「葬儀代は遺産の中から支払う」というのは、実質的に「葬儀代は預金を相続した人が負担する」のと同じです。平等性を重視する遺産分割の場合は、この論点も忘れないようにしましょう。

 ちなみに、相続税を計算する際に、葬儀費用は財産額からマイナスすることができるので、相続税の対象は長男が600万円、次男が200万円となります。

【参考】相続税の計算から控除することができる葬儀費用

控除可能なもの
葬儀費用、火葬費用、納骨費用、お通夜にかかった費用、戒名料、読経料、タクシー費用、花代、お車代、心付(領収書のないものはメモ書きでも可)など

控除不可のもの
初七日、四十九日にかかった費用、位牌代、墓地・仏壇・祭具の購入費用、香典返し、文字彫り代金など
※香典は所得税も贈与税も非課税とされる収入と位置づけられているため、それに対応する香典返しは控除の対象外とされています。

(本原稿は、橘慶太著『ぶっちゃけ相続「手続大全」』を一部抜粋・編集したものです)