ベテランの医師でも
見逃してしまうことがある

「1つ注意しなくてはならないのは、いったん発作を起こすと、痛みによって飲食できなくなることが原因で尿酸値が低くなる上、発作中は尿酸値が普段より低くなることが多いため、『痛風ではない』と診断されて放置してしまうケースです」

 ところが痛風の発作が収まって再び同じような生活を始めると、また尿酸値が高くなって痛風の発作が出てしまうことがある。ベテランの医師でも見逃してしまうことがあるというからやっかいだ。

「こういった事態を防ぐために、発作の最中でなく、治まってからもう1回尿酸値を測ってもらうのがよいでしょう。普段の健康診断の結果を持っていくことも大切です。そうすると、普段の尿酸値の数字と現在の値を比べることができます」 

 激痛の発作が起こったり、放置すると合併症が起きたり、慣れた医師でも見逃してしまうこともある痛風。なかなか手ごわい病気だ。

「一度痛風になってしまっても、生活習慣を改めて、適切に薬を飲んできちんと尿酸値を下げれば、再度発作を起こさない人はたくさんいます。その一方で、生活習慣の改善を怠ったり、薬を途中で飲むのをやめてしまったりして悪化させてしまう人もいます」

 痛風は、適切な投薬と体重管理、生活習慣の改善で寛解状態に持っていくことができる。まずは痛風にならない生活を心がけ、なった時には信頼できる医師に正しく診断してもらい、適切な治療を受けよう。

(監修/東京慈恵会医科大学医学部名誉教授 細谷龍男)