中野晴啓・なかのアセットマネジメント社長、森本紀行・HCアセットマネジメント社長(左)なかの・はるひろ/1963年生まれ。明治大学商学部卒業後、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信設立。23年6月に代表を退任し、9月より現職。「つみたて王子」の愛称で講演など多数開催。
(右)もりもと・のりゆき/1957年生まれ。東京大学文学部卒業後、81年に三井生命(現大樹生命)入社。2002年より現職。著書に『フィデューシャリー・デューティー 顧客本位の業務運営とは何か』など。 Photo by Yoshihisa Wada

日興アセットマネジメントの利益相反疑惑を報じたダイヤモンド・オンラインの記事を、投資のプロはどう読んだか。独立系の資産運用会社を経営する2人に聞いた。

――「疑惑の投信」を読んだ素直な感想を聞かせてください。

森本 記事でも触れていましたが、アークインベストメントという会社の実態がよく分からない。日興アセットマネジメント(AM)が運用を委託しなければ、おそらく無名だった会社ではないか。

 アークのように投機性が高い投資戦略は、業界でもたまに見ます。もちろん、さまざまな投資哲学があっていいとは思いますが、キャッシュフローを合理的に推測できることを前提にすると、なかなかアークのような投資戦略は作れない。われわれの仕事は顧客の財産を増やすことですから、キャッシュを生む可能性だけでは投資できない。こうした銘柄への投資判断を仮に投資運用業者がするのだとすれば、通常のリスクより丁寧に顧客に説明しなければなりません。

 おそらく三井住友トラスト・ホールディングスや日興AMといった社会的信用の高い会社の下でなければ、アークに投機的なお金が集まらなかった。そうした信用を利用した側面も否定できないと思います。

――日興AMは運用を委託しているアークに投資し、株主として配当金を受け取っています。利益相反関係にあると顧客に説明するべきではないでしょうか。