50代のうちは繰り上げ返済を実行せずにその分を貯めておく。重要なのは、自分のリスクを認識し、家計を見直して必死で貯めること。60歳になると、退職金の金額と60歳前半の再雇用での給与収入が分かるので、その時点で具体的プランを立てて見直す。

 残りのローンを一括返済しても老後資金を確保できそうなら、定年をきっかけに完済してもいいが、残高が多く一括返済してしまうと老後資金が心もとない金額になってしまう人には、状況に合わせて次の2つの見直しプランの選択肢がある。

 必死で貯蓄をした結果、60歳時点で住宅ローンの見直しに使える資金が500万円捻出できるとする。

◆プラン1
「65歳までに完済」期間短縮型の繰り上げ返済を実行

 例えば、毎月10万円の返済が70歳まで続くケースで、60歳時点でのローン残高は約1100万円だとする。

 60歳以降の給与収入が考えていたよりも多く、月10万円の住宅ローン返済を続けられそうだ。この場合、500万円で「期間短縮型」の繰り上げ返済をするプランがいい。

 500万円を繰り上げ返済すると、完済年齢は70歳から65歳に早まるため、年金生活までにローンを完済できる。

◆プラン2
収入が減るので返済額を少なくして70歳まで返していく

 60歳以降の再雇用の給与は大幅ダウンで、ローン返済を続けると年間収支が赤字になりそうな場合は、500万円で「返済額軽減型」の繰り上げ返済をし、毎月返済額を減額して、年間収支の赤字を防ぐ。60歳からの返済額は、それまでの約半分、月5万円になる。

 ただし、このプランでは返済期間は短くならない。ローン返済は年金生活まで持ち越すことになるので、65歳以降も働こう。また、今からでも妻もパートなどで世帯収入アップに協力してもらうなど、プラスアルファの対策を取り、65歳時点でもう一度繰り上げ返済すれば、年金生活に入る前に完済できるかもしれない。