国木田独歩の『武蔵野』を手に取って開き、「澄みわたった大空が梢々の隙間からのぞかれて日の光は風に動く葉末々々に砕け、その美しさ言いつくされず」という文を読むとき、その美しい景色を想像の世界で描きながら、今すぐにでもトレッキングに出かけたい気持ちになるのです。

 そう考えると、小さな子どもへの絵本の読み聞かせが、感性や想像力、共感力、語彙力などを育てるうえで大きな効果があり、脳の発育にもいいというのは大いに頷けます。

 小学生が宮沢賢治の『やまなし』を読んでいるとき、2匹の蟹やクラムボンをどれだけ自由にイメージしているのか、大人の私たちにはなかなか想像できない世界です。

アニメ界の巨匠・宮崎駿監督が
語る絵本の重要性

 40代の皆さんに小さなお子さんがいるのであれば、時間の許す限り絵本を一緒に読んであげてください。読み聞かせがお子さんの心を豊かに耕してくれます。

 誤解していただきなくないのは、アニメや映画などの映像作品が良くないと言っているのではないのです。ただ、映像だけを子どもに見せて、本を読む機会を十分に与えないというのは、あきらかに足りていないということなのです。