その点では、私の立場は“通訳”と似たところがあるのかもしれません。多くの場合、専門家と会場にいる参加者との間に立ち、必要な情報や議論の核心にあるものを翻訳する。だからこそ、多少は自分でわかっていることであっても、敢えて「WHY?」と投げることによって、聞き手のためにわかりやすく説明してもらうのです。

 対話を深めるエンジンとしての「なぜ?」「何?」「どうして?」ですが、いざ口にしようとすると、最初は意外に簡単ではないかもしれません。一番の壁は、「知らないと思われるのが恥ずかしい」という意識で、わからなくてもとりあえずの「知っているふり」をして、その場をしのいでおく。対話や討論が活発にならない最大の理由は、案外この部分にあるような気がします。

知りたいことをどんどん聴ける
とっておきの魔法の言葉

 そんな時、便利な“魔法の言葉”をお教えしましょう。

 それは……「不勉強で申し訳ないのですが」という前フリです。これを付ければ、気兼ねなく聞けるから不思議です。聞きたいこと、知りたいことをどんどん尋ねることができます。