頭を抱えるビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

パーパスにミッション、バリューにクレド……
もう「カタカナ語」でお腹いっぱい!

 リスクマネジメントの仕事をしていると、企業から行動規範(code of conduct)の作成を頼まれることがある。あるとき、その企業の幹部社員にインタビューを行ったところ、以下のような反応があった。

「うちの会社は、はやりものが好き。それは悪くはないのだけれども、会社の中にはすでにパーパスやらミッションやらバリューやらクレドやら……カタカナの標語だらけで、どれも全く定着していない。そこに加えて、コードオブコンダクトですか? もうお腹いっぱいで入りませんわ……」

 調べてみると、確かにその企業はこういったキーワードの氾濫状態にあって、これ以上新しいものを作っても成果は見込めなさそうだと考え、プロジェクトを方向転換することにした。

 もともと、日本企業には、企業理念があり、社訓があった。十分に機能していたと私は思うが、近年は似たようなカタカナ語が氾濫しており、混乱をきたしているように思う。もちろん、一つ一つの言葉には重要な意味があり、それを否定するものではない。しかしながら、それらを導入している側の思いほどには、現場には届いていないのである。