2型糖尿病は、遺伝的背景に加えて、食習慣や運動不足などの環境要因が影響して発症する。
発症予防には運動と食事の改善が基本だが、食事量や嗜好品を「減らす」のはなかなか難しい。何かを「追加」して予防する方法はないだろうか。
中国・西安交通大学の研究グループは、「メンデルランダム化研究」――ゲノム情報から予測された体質と疾病リスクとの関係を推測する方法で、ドライフルーツの摂取と2型糖尿病リスクとの関係を調べている。
一般にドライフルーツは健康食と見なされるが、こと2型糖尿病との関連では糖質の多さが問題になる。その一方で食物繊維やビタミン、ミネラルの含有量が多く、血糖値を安定させる可能性も捨て難い。そのため、食事療法に取り入れるべきか否か、長年議論されてきた。今回の研究はゲノム情報からの分析という強力な方法で、一石を投じようというものだ。
研究者らは、「英国バイオバンク(生体試料のデータベース)」に参加した42万1764人のドライフルーツの摂取に関する情報と、英ブリストル大学が管理する世界最大のゲノム解析用データベースから抽出した2型糖尿病患者6万1714例および対照の59万3952例のゲノム情報で、関連を解析。
その結果、ドライプルーン1個、ドライアプリコット1個、レーズン10粒を1単位とした場合、1日におよそ1.3単位以上の摂取で2型糖尿病リスクが有意に減少し、摂取量が1.3単位増加するごとに、発症リスクが60.8%低下することが示された。
研究者は「ドライフルーツに含まれる食物繊維やフラボノイドなどの抗酸化物質が、リスクの低下に寄与するようだ」としている。ちなみに可食部100グラム当たりの食物繊維量は、ドライプルーン7.1グラム、ドライアプリコット9.8グラム、レーズン4.1グラムだ。
ドライフルーツはちょっとしたおやつやヨーグルトのトッピングに使いやすい。まずは1日30グラム程度を目安に取り入れてみよう。購入する際は「砂糖不使用」の表示があるものを選ぶといい。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)