変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。
長いだけで伝わらないメール
あなたの周りには、文面がやたらと長く、結局何を言いたいのか分からないEメールを送ってくる人はいませんか?こうしたメールは、どんなに優れた内容や目新しい情報を含んでいても、要点がはっきりしないため読んでいる側にストレスを与えてしまいます。その結果、メールの送り手は「仕事ができない人」とみなされてしまいます。
ビジネスの現場では、効率的なコミュニケーションが求められますが、長すぎるメールは、その逆を行ってしまいます。特に、経営者や管理職など日々膨大な量のメールに対応しなければならない人に無駄に長いメールを送ると、重要な情報が見逃されるリスクが高まります。
「相手に考えさせない」メールの重要性
では、「仕事ができる人」は、どのようなメールを書くのでしょうか。
彼らは、Eメールにおいて「相手に考えさせない」ことを重視しています。メールを受け取った相手が瞬時に理解し、必要な行動を取れるように、シンプルかつ的確なコミュニケーションを心がけています。これにより、相手に無駄な負担をかけず、スピーディーに仕事を進めることができるのです。
ビジネスの現場において、迅速な意思決定が求められる場面は日常的に存在します。その中でメールは、重要なコミュニケーション手段の1つですが、曖昧な内容や長すぎる説明は、相手の意思決定を遅らせる要因になり得ます。相手に考えさせず、すぐに理解し行動に移せる「俊敏さ」を意識したメールは、急速に変化するビジネス環境において、スピード感を持った行動を支える重要な要素です。
シンプルかつ明確なメッセージを心がける
この「俊敏力」は、日々のエクササイズを通して鍛えることが可能です。有効なエクササイズの1つは、メールを「15分以内に返信する」ことを習慣にすることです。
メールのやり取りを通じて俊敏力を養うためのポイントは、以下の3点です。
・ 要点を明確にして、簡潔な言葉で書く
・ スクロールしないと読めないような長文は避ける
・ 相手への質問を入れることで、相手の期待値を明確にする
忘れてならないのは、相手の顔こそ見えませんが、メールも会話のキャッチボールだということです。自分からの返信が遅くなれば、自然と相手からの返信も遅くなることは理解しておきましょう。
また、この習慣を身につけることで、相手に好印象を与え、信頼を築くことも可能です。仕事のスピードが求められる現代において、迅速に対応する力はビジネスの成功を左右する大きな要因となります。
アジャイル仕事術では、俊敏力を向上させる方法をはじめ、働き方をバージョンアップする方法を多数紹介しています。
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)が初の単著。